片岡秀夫Keyboard, Vocal, Chorus, Mandolin, Autoharp (leader)
新屋敷 昇Bass, Bouzouki, A.Guitar, Flute, Autoharp
郡山幸治Cello
片岡以津子Keyboard, Recorder, Chorus, Piano
古舘都佳Vocal, Chorus
今井佐和奈Piano, Keyboard, Bass
南條伸明E.&A.Guitar, Mandolin
橘  一Violin
新屋敷知亜子Keyboard, Accordion, Flute, Vocal, Chorus
石川優美Vocal, Chorus, Perc
古川 徹Drums
石川進一郎E.&A.Guitar

1983年8月に活動を開始して以来、オリジナル曲の制作/レコーディングをメインにジャンルを越えて36人の人たちが参加しました。1曲1曲が一つのプロジェクトとして完成した作品は、カセット4本、CD2枚と計アルバム6枚62曲になります。後期にはパーマネント化したメンバーによるライブ活動が行なわれ、4回のライブと結婚披露宴などの小ライブ6回で演奏しました。

このバンドは「一般的とされる方法」や「既成の概念」「ジャンルの枠」などにとらわれずに活動することを意識して活動をしてきました。そのため、歌は歌であっても歌ではないし、歌が入っていてもそのパートが主旋律ではなかったり、歌詞にも意味がなく、昔の曲の中には、響きをつけるのに適した子音と母音の組み合わせを用いた「造語」による歌詞を採用したりしてます。現在の曲も歌詞の役割は音楽全体のイメージを描いてもらうための「わかりやすい拠り所」としての性格が強く、かえってヴァイオリンの方が雄弁に歌っています。自ずと歌の出番が少ない曲が多く、ちょっと長めのギター・ソロ程度の場合もあります。

こんな音楽もあるんだなということを伝えると共に、楽器のうまい人も苦手な人も一緒になって一つのものを作り上げる喜びを知ってもらいたいと思って続けてきましたが、10年でひとつの区切りをつけ、新たな方向を模索することになり、1994年2月19日のライブをもって解散しました。

DISCOGRAPHY
1. APOCRYPHA(1984), 2. CHRONICLE(1984), 3. 夢みる庭園 −寂光神話−(1985), 4. ルフラン −寂光神話−(1987), 5. 四季の夢(1989)(CD), 6. MARGINIA(1993)(CD)



LUCIFER というプロジェクトについて
参加したい人が参加したい時に参加できる素材(詞や曲など)と場所(レコーディング機材のある部屋など)を通じてコミュニケーションを広げるのが LUCIFER というプロジェクトの基本姿勢であり、1曲完結のスタイルで作品を作っています。誰かがやりたいことを提案し、それを他のメンバーとの共同作業を通じて完成させ、そんな成果を一つにまとめたのが本作です。共同作業は最初に発案した人のイメージとは違う形で発展を遂げ、さらにおもしろいものに変容することもあるので一人では得られない成果が期待できます。どうしても自分のやりたいようにしたければ全部一人でやれば良いわけですが、社会人になってまで続けるには長続きしにくいようです。
やはり、より良いものを作ろうとする気持ちでお互いを刺激し合い、その結果得られるコミュニケーションとその成果である作品を残すことが長続きの秘訣ではないでしょうか。このCDはその成果であり、90年代に残された私たちの思い出になると思ってます。

音による記念撮影
共に作りあげる喜びは文化祭の演劇や映画の準備に似ています。徹夜したり、メンバー間にいろいろトラブルがあったり、助け合ったり(青春してるという程ではないですが)そのプロセスが楽しいのです。仲間との共同作業、その思い出の共有にこそ最大の意味があると言えます。その意味でこのCDは音による記念撮影という形の思い出づくりとも言えます。(メンバー写真撮影のための旅でさえが音づくりと同じ感覚の遊びとなってしまいます。)そんな仲間たちと64才になって再会した時「昔はよくあんなもんつくったな。もううまく弾けないかもしれないけど、またなんか一緒にやりたいね」と言える仲間が増えることを楽しみにしています。

LUCIFER は魔女のスープ
LUCIFER の制作体制は魔女のスープに似ています。いろんな個性から出てきた素材(完成してないフレーズ、歌詞、リズム、曲イメージなど)がスープにどんどんほうりこまれ、ひたすら味を変化させつつ、火を絶やすことなくぐつぐつと煮込んでいき、ふと味見をしてみるとズルズルと一続きの曲がでてきて、それにコショウなどのスパイスでちょっと味付けをすれば完成。だから何が出てくるかは出してみるまでわかりません。(MOON WIND 訳詞参照)入れた素材はドロドロになり、原型をとどめていないことが多いのです。

魔女のスープに映像や物語を入れると…
スープに入れる素材は音楽以外でも同じです。たまたま今回は音楽(CD)という形でその成果が届けられただけであり、将来はマルチメディア(ちょっとおおげさな言葉ですが例えば、音楽、物語、イラスト、背景、効果音などの合体)のようなものを作るサークルとして機能するような事も考えてます。イラストを描くメンバーもいれば、ストーリーを作るメンバーもいます。(デザイナーもいれば株屋?もいる。)背景を描いたり、ビデオ編集をしたり、音楽からみれば映像は楽器のパートが一つ増えたようなものです。映像は時には主旋律となり、時には他のパートと複雑に絡みあったりし、他の楽器との掛け合いも要求されるでしょう。
いわゆる、誰もがメディア発信者になりえる時代がマルチメディア時代にくると言われてますが、アマチュアが何かを発信していく、それはプロを目指すということではなく(プロ・アマの境目がより曖昧になり)自己満足だけでもなく、周辺の人々を巻き込みながらコミュニケーションを拡大していくものと考えられます。そんな時代を意識しながら、マイペースで続けていければと思ってます。

唐突ですが「面」で捉える感覚について
速読では1ページの文字を同時に把握するようですが、普通は読書をする時、文字を順に追っていると速く読めません。これは、小学生の時に音読(一度に一音しかでない)の訓練によって一点に集中する習慣がついてるためという説があるようですが、「点」に集中する習慣を脱し、「面」に集中する拡散的な認識方法を身につけることが速読のみならず音楽や絵画でも有効な手段になると思われます。
例えば、絵のかける人の中にはパッと見ただけで風景のポイントを把握し、見ないでそれが描ける人がいるようですが、これは木や花、ベンチのように「点」である物体でなく、視野全体の3次元空間を2次元の「面」という情報に置き換えて捉えているからではないかと思われます。机の上のリンゴ一つとっても、普通はちょっと茶色の点が混じった「赤い」球体と思いこんで見てますが、彼らには光のあたってる部分が「白」、陰になってる部分は「黒」に近い色に見えているのです。そう言われて見ればそう見ることもできますが、普段から全ての景色をそう捉えることは困難です。(ちょっと試してみると長い回廊は遠近法的に見えたりもします。)

音楽を「面」で捉える
これを音楽に置き換えて考えてみますと、自分が聴いているのは主旋律である歌やソロ・パート(あるいは自分の好きな楽器のパート)を「点」として追いかけて(複数の「点」の集まりとして各パートを同時に聴くことはできるが限界がある)いるというのが一般的な習慣(最も目だつ音に耳がいく)だと思いますが、「面」で捉えることによっていきなり視界が開けて(音響空間も広がって)感じられました。今まで聞こえなかった音や(歌も含む)楽器どうしの絡みあいが時には自己主張し、時には調和しながら一緒に山場を迎え、クライマックスに至るのが新鮮な感動を与えてくれるのです。バッハをはじめクラシック作品の多くは昔からこれを意図して作られていたようですが、ややもすると有名な曲ほど主旋律に耳が行きがちです。絡みあう全パートの流れと関わりを同時に聴くことによって、交響曲などでは感覚が飽和しそうなものもあります。
この喜びを伝えようとして(「面」の訓練もかねて)歌が主旋律ではない曲や、全然違う動きをする旋律が同時に4つも5つも鳴っている編曲(それぞれの調性が一定でないものもある)も作りました。(10曲目の「THE GARDEN」では編曲に際して約200通りの8小節メロディを作り、取捨選択して残ったものを組み合わせ(6ヶ月もかかってしまって)一つのオーケストラにまとめあげています。)

ついでに映像も「面」で捉えると
これを映像で考えてみます。ある日7人が森と湖のある町を訪れて丘の上で全員がビデオ撮影をしたとします。それぞれが見たり追いかけたりする風景は別のものであり、興味の対象が違えば感じ方も違います。そんな7人による音と映像を一つの大画面の中にバランス良く配置したものを、どの人の撮った映像を追いかけることもなく見ることによって感じられる浮遊感。このポリフォニーの心地良さは線的に主旋律やストーリーだけを追いかけることからは得られない喜びがあるでしょう。

最後に
いろいろ思いついたことをとりとめもなく書いてしまいましたが、とにかくこのCDを音として単に聴く時には一切の説明は無効になります。音が伝えられるものが全てになるのでしょう。しかし、結果としてCDで提示されたものが音楽として聴こえたとしても、いわゆる音楽として機能してないかもしれない「音+楽」(=別の概念の音としての機能)も是非感じとってほしいと思います。感想などをいただければ幸いです。

1993年3月3日  片岡秀夫


●解体されたサンプルとその解説 片岡秀夫
バラバラに聞くと同じ曲とは思えないかもしれませんが、 さまざまな側面を聴いていただければと思い、このようにしました。 一つ、二つでは、どんなバンドなのかわからないかもしれません。 できるだけ多く聴いていただけたらうれしいです。
Quila Rillion #1 65KB
最もトラッドらしいアコースティック主体の曲で、これもインストであったものに、後から歌がつきました。ヴァイオリンとチェロが活躍しますが、さらにブズーキ、マンドリン、オートハープ、12弦ギターなど、弦ものがたくさん入って気持ちいい出来になりました。Kharez という現在やっているバンドは、この世界を継承しているのかもしれません。
Quila Rillion #3 111KB
前述の楽器が最も活躍する部分と最後に歌が加わってくるクライマックスへと向かう部分です。ブズーキなどのアンサンブルが聴けます。
Endless Green #1 71KB
第一部の大地の誕生から森や湖が形成されていく場面。ヴァイオリンとチェロとベースの絡みをきいてください。
Endless Green #2 139KB
森とそこにすむ民との契約の歌。リコーダーパートのフレーズやベースが歌と絡みます。牧歌的、あるいはトラッドぽい部分。
Endless Green #3 95KB
#2 の続きで、特に気にいっている部分です。5度のドローンコーラスが加わり、収穫への感謝と美しい自然をたたえる歌になっています。
Endless Green #4 144KB
ハイランドとアイランドの美をたたえる歌。これも #3 の部分と同じぐらい気にいっているところです。地味だけど最も心をこめた部分。
Endless Green #5 135KB
文明の新興により黄昏の予兆へと向かうジャズロック的なインスト部分。
The Garden 162KB
オーケストラ的なアレンジを狙った作品で、同じコード進行の上に200種類のフレーズをアレンジして、それを組み合わせて行ったので、独特の世界が出来上がってしまったように思えます。歌詞は黄昏の国が見える人々のための歌。この曲がアルバムラストの曲で Marginia という国にたどりつく場面でもあります。

1. MOON WIND [5'20"]
2. ENTER MARGE [4'30"]
3. QUILA RILLION [5'35"]
4. ENDLESS GREEN [9'32"]
5. 水の園 [5'46"]
6. LOVERS IN THE DREAM [3'57"]
7. MADRIGAL [5'10"]
8. DREAM VISION [5'05"]
9. RALPH [6'00"]
10. THE GARDEN [5'21"]
11. LIBRA CIRCUIT [3'24"]
12. REFRAIN [2'52"]
13. たそがれ色の時間 [4'40"]
14. FRIGHT [4'00"]
*11〜14 BONUS TRACK

MARGINIA
the Realm of borders.
http://homepage1.nifty.com/marginia/
(C) LUCIFER PROJECT 1993

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